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続 どぶろく売りと日本経済

再び、財政崩壊についてです。再びというのは、「どぶろく売りと日本経済」という記事の続きという意味です。

前回の記事では、落語のどぶろく売りに例えて、売り手と買い手が同じになってしまった場合、経済活動として成立しないという話でした。一種の自給自足経済としては成り立つのですが、8競争がある大きな経済社会の中のある一つの経済主体としては、外部に対して意味を持たないという意味です。


どぶろくを二人で作り、市場へ行く途中で一人が自己資金5銭を出して、その分を飲み、受け取った方が、その5銭でどぶろくを買い、その繰り返しで、市場へ着く前にどぶろくはなくなるが、売り上げは5銭しか残っていないという話は、何がまずいかのか?仮に、この二人が、自分たちの力でどぶろくを作り、特に人手を借りていなければ、単に、予定していた市場での売り上げを得ることが出来なかったというだけです。自分たちでどぶろくを飲んだのですから、十分に対価は得ていて、二人としても特に文句はないでしょう。

しかし、当然、例えばどぶろくの原材料をどこかから仕入れていて、市場での売り上げをその支払いにあてる予定であったら、困ることになります。


日本の場合、国債や都道府県、市町村の発行する債券の残高が非常に多額になり、その買い手が国内にいて、日本の税収の担い手になっている点が、売り手(つまり、国債などの公債発行をする側)と買い手(つまり、公債を買う側)が日本経済という一つの経済主体の構成員であることになり、これがまずいのです。


どぶろくを作った二人のうちの一人が5銭でどぶろくを買う。その5銭を受け取った方がその5銭で再びどぶろくを買う。5銭だけが行ったり来たりするだけで、どぶろくが無くなります。


どぶろくでは5銭が行ったり来たりして、どぶろくそのものが消費されるのですが、日本経済の場合、国債購入の資金が行ったり来たりしているのです。その間に変化するものは、どぶろくではなく、国債残高の積み上がりです。


単に、日本国内だけの話であれば、国債発行した分、いろいろな事業をやった(どぶろくを飲んだ)ということで、特に問題はなく、単に、債券残高が積みあがる(どぶろくが無くなる)というだけのことです。問題は、どぶろくの場合と同じく、外部です。日本の場合、海外からの輸入が相当な金額になっています。これが問題になるのです。


現在、経常収支は黒字です。しかし、貿易収支は以前と比べると、その黒字基調がかなり危うくなってきています。これはなぜでしょうか。


少子高齢化とか、海外での経済発展、日本国内の産業の海外移転が進んだことなど、さまざま理由が挙げられると思います。しかし、自分としては、それらとは別の大きな原因があると考えています。


具体的には、公債発行によって利子の支払いが国からされますが、その利払い額が経済規模に対して、かなり大きな割合にまでなってしまっていて、実質的な経済活動を伴わない富の創造(利払い)がGDPのかなりの割合を占めるようになってしまっていることです。この金額は具体的には利払い費(公債費)という形で分かります。ネットにつなげていずにこの記事を書いているため、明確にその割合を述べることが出来ませんが、予算の数割という規模であることは確実です。国、県、市町村のどの段階でも当初予算の数割という規模であると記憶しています。


国債(公債)を発行して、民間資本がそれを買う。民間資本は国債(公債)償還を受けて、利子分が儲かります。ここで、売る方と買う方が同じ経済主体(つまり、一つのGDP算出の対象)であると、国債を発行すればするほど、または国債を買えば買うほど、GDPが大きくなり、その社会は経済活動が活発であることになってしまい、国債を発行すれば、それがまた新たに国債を発行するための原資になるという構造ができてしまいます。国債の買い手は、確実に償還があるため国債購入が儲けにつながり、儲けがより大きくなる国債残高がより大きいという構図を容認するようになるのです。ここには、実社会へ投資をして、実際の経済活動を伴う富の創造をするという姿勢がありません。


それだけではなく、一方で、金利負担をなるべく抑えたいという心理が国や地方自治体に働きます。結果的に、これが社会全体の経済活動活発化を抑え込んでしまうのです。経済活動が活発化すれば、金利が上がります。高い金利で借りても利益が上がると考える人々が増加するからです。しかし、既に国債や公債が積みあがっていると、金利の高い債券が出てきた場合、それまでの債権が売られます。金利が高くなれば、金利の低い債権を抱えていることは単に逆ザヤになる財産を持っていることになるからです。そうすると、新たな債券を発行しようにも、上がりつつある金利に合わせて高い金利での発行になり、雪だるま式に、つまり、加速度的に金利負担が高くなっていくのです。企業部門に内部留保がたまる遠因がこれであると思っています。


実質的な経済活動を伴わないまま、公債発行が続くことの問題は、公的部門による安易な予算執行であり、社会保障基盤がどんどんと弱体化するが、その弱体化に伴う経済的負担能力の低下がなかなか表面化しないことです。


災害が起こっても、それなりに手当てが出来るが、その原資は公債発行であり、実質的な負担が社会によってされていないのです。このことが、危機対応能力の鈍化となって表れています。


1995年阪神大震災、2011年東北地方太平洋沖地震(311大地震)のたびごとに、円高に振れました。大きな震災が起これば、普通その国の通貨は下落するのです。反対になった原因はなんでしょうか。この原因は実を言うと明らかになっていません。保険会社が震災による保険金の支払いの為に、海外資産を売り払い、それで円を買ったため、円高になったという説明がされていますが、これは保険会社自身によって否定されています。


多分、国際的な投機資金の動きによるものです。実需の100倍程度の投機資金がいつも地球をぐるぐる回っているとされ、その投機資金の動きが円高を演出したのです。しかし、これは投機資金が損を出して円を買い支えたというわけではありません。日本経済は輸出力があり、貿易赤字になったわけではないため、単に為替を本来の動きとは逆にしたというだけのことなのです。大きな災害があっても日本経済は大丈夫だよという実例を見せることで、強く印象付けをしたということです。実例があるのですから、日本は強いとだれもが思ってしまうわけです。しかし、首都圏大地震は損害の規模が異なります。日本の政治経済の中心地を大地震が襲い、しかも、それが起こると、その後、関東から関西までを大きな内陸性の地震が断続的に起こる可能性が高いのです。


日本経済が貿易黒字であったために、為替を円高誘導することが可能であったからくりは簡単です。貿易黒字国であるため、国際的な円の信認は高いままですから、海外から見ると、つまり、ドル資金を持っている方から見ると、ドルで円を買うことに特に障害はないのです。そして、日本から見ると、輸出するために、日本は海外資本に円買いをさせなければならないのです。いくら円高でも、円を買ってくれ、つまり、輸出品を買ってくれと日本政府も日本企業も言うしかなく、まして、その製品にある程度の国際競争力があれば、数割程度の円高は容認されてしまうのです。つまり、数か月から1年程度の円高演出のための円買いは、その後の輸出継続時の円売りでほとんど損を出さずにドル資金を元に戻せるという仕掛けです。簡単に言ってしまえば、株の買占めと売り逃げと同じです。値上がりを演出して、提灯買いが出るのを待って、売り逃げするというやり方です。株の値上がりを仕掛けたのが多分ドル資本であり、提灯買いをしたのが日本企業という構図でしょう。(もちろん直接的に日本の輸出企業が円買いをしたわけではありません。日本製品を日本円で買って輸出は出来ませんから。しかし、円高時に、継続的に輸出を継続し、相当な無理、つまり、自社の負担をしながら円の取引を続けさせたのは日本企業です。)


なお、デフレ退治のための日銀の政策は極めて正しいのです。1ドル80円という円高があのまま続けば、日本の輸出企業はどんどんと海外移転を余儀なくされ、日本の輸出力はすぐに極端に低下していたはずだからです。そうなれば、直ぐに円売りが始まり、日本財政は奈落の底へ落とされていたはずです。アベノミクスは、ある意味、日本の財政破たんを未然に防いだと言えます。


多分、金利が上がっていない、それどころか、金利が低下している原因も、輸出が維持できているからです。貿易黒字が維持できている限り、円安も、金利高騰も起こらないのです。


仮に、現在、財政赤字が積みあがった分を一気に課税して取り戻すことが出来るでしょうか。これとほぼ同じことが戦後処理で行われました。戦時中の軍備費調達のため積みあがった財政赤字分を、一気に課税でチャラにしたのです。と言っても、これは実際に課税が行われたわけではなく、民間部門が持っていた債権をその分だけ課税すると言って、実質的に踏み倒しをやったということのようです。GHQがいて、実際に敗戦したためにできたことであり、現在同じことをやろうとしてもとても無理でしょう。


1千兆円を超える規模の国の財政赤字。GDPの2.5倍程度だと言われていますが、これを長期間かけて少しずつ償還していくことも考えられます。イギリスの例があります。しかし、現在の日本にそれが出来るようにはなかなか思えません。根拠は、幾つかあります。まず、依然として、かなりの規模の新規赤字国債発行が継続していること。次に、人口の高齢化があります。更に、日本の国際的な競争力低下。そして、今後ますます増加するであろう自然災害です。特に、首都圏を襲うであろう首都直下地震とその後の富士山や伊豆諸島などでの火山噴火の影響が深刻になるはずです。江戸時代までは日本の中心は関西でした。この理由は、関東よりも関西の方が朝鮮半島に近く、中国文化の輸入がより容易だったことがあると思いますが、同時に、関東圏は富士山や伊豆諸島、そして北関東から中部地方の火山噴火の影響が強くあったからだと思えるのです。311大地震の前回版と言われる貞観地震前後は、富士山や伊豆諸島火山の噴火が日常的に起こっていたことが確認されています。富士山は1707年の宝永噴火以来、大きな噴火をしていず、このことが、東京圏の拡大と人口集中が可能になった要素の一つであると思えます。


仮に、首都圏大地震が起こってしまうと、日本の輸出力は一気に低下し、その後は、円安が非常に大規模に始まるはずです。貿易収支が黒字であることが、ドル資金による円買いの前提です。より条件を緩和して、経常収支の黒字と言ってもいいのですが、貿易赤字でも経常収支の黒字の源泉であるとされる資本収支の黒字は、言ってみれば銀行預金があるというだけであり、稼ぐ力ではないため、働かずに預金で暮らしているようなもので、すぐに行き詰ります。


赤字国債の発行は昭和の40年代ごろからある様子です。1960年代の終わりから1970年代の初めごろと言ったところのはずです。1973年のオイルショックがきっかけだったのでしょうか。その後、変動相場制への移行期とか、1985年のプラザ合意後の外需頼み経済から内需主体の経済への転換期、そして、バブル崩壊とその後のリーマンショック時の不況からの脱出、311大地震以降の円高による産業空洞化への対応と、政府による財政出動と日銀による金利引き下げと市場への資金供給の拡大が繰り返され、この30年程度で、一気に財政赤字が積みあがりました。


その間、消費税の導入があり、10%への増税が今迫りつつあります。日本は、中福祉・中負担という政策が政府自民党によって主導されていて、この政策判断は正しいものだと考えています。


消費税は、生活に欠かせない行為に対して課せられる税金であるため、どうせ消費税をかけるなら、思いっきり高率にして、その分で、福祉を充実し、生活していけない人々を完全に支えるべきだという議論があるのですが、正しくありません。税制の基本は、私有財産制の是正です。仮に所得税率が低く、消費税率50%で福祉充実であった場合、生活に欠かせない経済活動は、どうしても低所得者の方が所得全体に占める割合が高くなるため、所得に対する税負担率が高くなってしまうのです。仮に福祉が徹底して、不自由なく生活出来る程度まで福祉が行きわたったとしても、それは所得階層の固定化につながるだけで、結局は、社会全体の活力を奪っていき、社会崩壊へつながります。


北欧の税制のことをあまり知らないのですが、多分、消費税が高率であるだけでなく、その他の税率も相当に高いのではないでしょうか。特に、所得に対する累進性が高いのだと思います。自由経済の基本はなるべく自由に企業が利益追求をすることですが、その結果、富の偏りが出来てしまい、それが社会全体から見ると、市場の縮小を招いてしまうだけでなく、社会の不安定さを作り出してしまうため、一見、自由経済とは矛盾する税制という規制があるのです。私有財産を無制限に放置すると、富が富を生む構造が出来あがてしまい、結局それが社会全体を壊すところまで行ってしまうため、社会構成員全体の平等という観点から税を課すという規制が出来てきたわけです。もちろん、荘園制度とか、いろいろな変遷はあった様子ではありますが。


1973年のオイルショックではサンシャイン計画が作成され、国産エネルギーの開発が進みました。地熱開発も、かなりの規模で進んだのです。しかし、内田元亨さんという当時の通産省の技官の方が退官して「わざ」という会社を作り、地熱開発を大分県で開始し、それにフジタが資金供給をして、一時、内田氏は日本の納税額トップリストに入るほど裕福な状態になったのですが、なぜだかがはっきりしない原因で開発が途中で中止になり、フジタも200億円以上の負債を抱え込んだのです。結局、フジタに対する不良債権は融資した銀行が債権放棄をしたのですが、一時は大きくマスコミで伝えられた地熱開発が挫折したことにより、地熱開発はうまく行かないという評価につながり、開発が止まりました。これがちょうど1997年の東電OL殺人事件とほぼ同時期のことで、この年に、新エネルギー開発補助金の対象から地熱が外され、以降、311大地震が起こる2011年まで地熱開発冬の時代になるのです。


ところで、戦後のGHQの改革でとてもうまくいったと評価されているものが農地改革です。例えば、フィリピンでは全くうまくいきませんでした。日本で何がされたかというと、安値で地主の人々から農地を買上げ、そのままの価格で土地をあまり持っていなかった農家へ売ったのですが、同時に、そうやって農地を手放した人々を役所や電力会社が受け入れるということをやったのです。基本的にこの仕組みが、戦後の、特に田舎の支配の基礎構造です。この構造が基になり、沖縄を除いて、各地に原発が造られて来たのです。沖縄は島が多く、原発を造ると出力が大きくなりすぎるために、原発を造らなかったとされますが、多分、実際は単に米軍基地があったために、原発を造らせなかっただけです。沖縄本島から海底ケーブルで他の島々へ、または、台湾へ電力を送ることが出来、50万キロワット程度の原発であれば、十分に電力需要がありました。なお、フィリピンでも原発はありません。


戦後のGHQ改革には、多分もう一つあるのではと思っています。つまり、自分で確認をしてはいないのですが、地方交付金制度です。多分、戦後のGHQ改革で作られたものだと思っています。基本的にはこの制度が地方の経済的な自立を拒み、結果的に地方に豊富に存在している地熱開発を遅らせてきたのです。役所と電力会社の方たちは、基本的にこの制度に優遇され、原発導入を進めると同時に、本来開発が出来た地熱を放置したのです。温泉データの開示が全くされていない現状の背景には、地方交付金制度があるはずです。


銀行を通した信用創造の中心が公債の購入になってしまっていて、実質的な経済活動を伴う投資(信用創造)が行われていないこと。

企業部門もその株主の中心的存在である外資により、積極的、長期的な投資ができにくくなり、それが内部留保の積み上がりとなり、その内部留保による企業部門の公債購入となっている。


仮に、今後寒冷化が進むとして、化石燃料や食料価格の高騰があり、また、世界各地で火山噴火や大地震が続発するとします。かなり大まかで雑な議論ですが、基本的には、経済は縮小していくでしょう。金を通した物品の取引、または、資金の移動・投資は縮小していくはずです。その一方で、石油・天然ガス資源とか食料を多く持つ企業は非常に利益を上げることになります。一般市民がどんどん困窮していく中で、ある一定数の企業によるエネルギー・食糧の独占といった事態が起これば、基本的に政府は企業の公営化をしようとするでしょう。しかし、他国の企業が他国で活動している場合、それは出来ません。日本の場合、国内で営業している外資に対して、国営化しようとすれば、単にその外資は国外へ逃げるだけでしょう。基本的に自給率が低いものは単に価格が高騰するだけに任せ、対策が取れないことに日本はなるはずです。


なお、当然、貿易収支や資本収支は赤字になり、必然的に大規模な円安が始まります。そうなれば、株安、債券安の三重の安値になり、ハイパーインフレが始まるでしょう。金利も跳ね上がり、国も地方公共団体も債券発行すれば、それがそのまま財政への信認低下につながるだけで、一層の通貨安、金利高を呼び込むことになり、悪循環にはまりこむだけです。


経済が悪化する社会では、いわゆるぜいたく品が最初に節約対象となります。旅行もそうでしょう。観光客は潮が引くように数が減少するはずです。


問題は、輸入比率の高いエネルギーと食料です。飼料とか肥料も入ります。これらの自給率を高める必要があります。地熱開発はエネルギーと食糧の自給に確実に役立ちます。温泉との共存も十分に可能です。特に、マグマ発電も可能になっているはずで、それが出来れば、大陸への電力輸出さえできるようになるはずです。


問題は、指宿市のように行政が地熱開発にストップをかけてしまっていることです。

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